親知らずについて
親知らずとは
1番後ろにはえてくる歯です。この歯は必ずしも全員がはえてくるわけではなく、はえていても問題がない場合もあります。しかし、場合によっては他の歯の歯並びに影響を与えたり、痛みや腫れを引き起こすこともあります。私達は親知らずが口の健康に影響を及ぼす可能性があるかどうかを評価し、必要に応じて抜歯や経過観察をしていきます。
親知らずは第3大臼歯(6才臼歯の2本後の歯)、中央の歯から数えて(抜いてある歯やもともと生えてこなかった歯を含め)8歯目の歯のことを言います。永久歯の中で一番最後に生えてくるためスペースがなく、横や斜めに傾いたり、骨の中に埋まったまま生えてこない場合もあります。
親知らずが生える年齢
親知らずは通常、10代後半から20代にかけて生えてくることが一般的です。ただし、個人によって生える時期や順番は異なることがあります。
生えてくるときの痛みについて
親知らずが生えてくる際には、痛みや不快感が伴うことがあります。歯が他の歯に押されたり、歯肉と歯の隙間が不衛生になり炎症が引き起こされ痛みや腫れが生じることがあります。ただし、すべての人が同じように痛みを感じるわけではなく、個人差があります。痛みや腫れが強い場合や長く続く場合は、歯科医院で相談してください。
痛みの
原因について
痛みの原因
歯肉への圧力
親知らずが生える際に、他の歯に圧力をかけて歯肉を押し広げることが痛みの原因になることがあります。
歯肉の炎症
親知らずが歯肉に埋もれている状態で、食べかすなどが歯肉に挟まって炎症を引き起こすことがあります。
歯肉の感染
歯肉の炎症が進行すると、細菌による感染が起こる可能性があります。大きく腫れたり激しく痛む場合があります。
親知らずによる症状
具体的にどのような症状が
ありますか?
- 腫れ
- 痛み
- 頭痛・肩こり
- 場合によっては発熱や嚥下障害
親知らずの生え方
-
まっすぐ生えるケース
親知らずがまっすぐ生えていて、上の歯と噛み合っているのでちゃんと磨ければ残せるケースです。
-
水平埋伏のケース
親知らずが横を向いて埋まっていて隣の歯が虫歯になったり、清掃性が悪いために炎症を起こして腫れてしまうリスクが高いため、抜歯をした方が良いケースです。親知らずと神経が近い場合は、安全のためにCT撮影をして位置関係を確認します。
抜歯すべき最適な時期
年齢が高くなると骨が成熟してきて硬くなるため抜歯の難易度が高くなります。
抜歯の難易度について
まっすぐに生えている場合
- 簡単なケースが多いです。
- 簡単な場合は30分。
- 保険適用になります。
横向きに生えている場合
- 抜歯の難易度が簡単な場合もあれば難しい場合もあります。
術前の診査にてしっかりとご説明いたします。 - 60分程度
- 保険適用になります。
埋まっている場合
- 抜歯の難易度が難しい場合や神経麻痺が伴う事がある場合があります。
術前の診査にてしっかりとご説明いたします。 - 60分程度
- 保険適用になります。
親知らずは抜いた方が良い?
親知らずが生えてくる場所は歯ブラシが届きにくいので、細菌が繁殖しやすく、虫歯になりやすい状態です。また、親知らずが無理に生えてきて隣の歯を圧迫していたり痛みがある場合や、衛生面でトラブルを引き起こす可能性がある場合は、抜歯をした方が良いケースが多くなります。
親知らずが生えてきてもトラブルを起こしていなければ、必ずしも抜歯をする必要はありません。
痛みや腫れについて
親知らずだから必ず抜歯後は腫れるなどということはありません。事前の的確な診断とプランニングで効率的に抜歯を行うことで、周りの組織の侵襲を少なくし、腫れや痛みを可能なかぎり少なくすることが重要です。
また、痛みの感じ方にも個人差はありますが、術後にお渡しする痛み止めでほぼ改善されますのでご安心ください。
親知らずと歯並び
親知らずと歯並びの関係性について
親知らずが正常に生えてくる場合や横向きに生えてくる場合でも他の歯との位置関係によっては周囲の歯を押しのけたり、歯の歯並びを乱したりすることがあります。
矯正の際の親知らず抜歯の意味
後戻り防止の為や口腔内環境を整えるために矯正する前に親知らずの抜歯を勧める場合があります。その際は検査を行い矯正医の方から説明させていただきます。
親知らずを抜歯する際の
医院の選び方
こんな医院での抜歯を
おすすめします。
親知らずを抜く時、問題になりやすいのが下顎管と言われる神経や血管が入っている管と親知らずの位置関係になります。それをチェックするためにパノラマレントゲンでは不十分なケースがあります。その際三次元的に評価できるCTがとても有効です。
- 術前にリスク診査、リスクの説明を丁寧に行ってくれる。
- 難しい症例の場合、高次医療機関への紹介を提示してくれる。
- 口腔外科の専門医との連携がある。
抜歯をお勧めするケース
- 親知らずがあることによってその周囲の歯肉が腫れて痛みがある場合。
- 親知らず自体がむし歯になっている。
- 親知らずの隣の歯がむし歯になっている、または歯周病になっている。
- 親知らずによって歯磨きを難しくしている。プラークコントロールが困難な場合。
(上記の状態になく検診の際問題ないようであればそのままにしておく事があります。)
抜歯後の注意点
- 血流の流れがよくなるので入浴、飲酒、激しい運動は避けてください。
- 気にして指や舌で傷口をさわらないでください。
- ハブラシは、傷口にさわらないように注意してください。
- うがいをし過ぎると、出血が止まりにくくなったり傷の治りも遅くなります。
(いつまでも血が止まらなかったり、時々出血するようであれば、清潔なガーゼか綿を大きめに傷口にあて30分ぐらい強く咬んでいてください。唾液に少し血が混ざっている程度なら心配いりません) - 麻酔のため、1~2時間くらい舌や唇がしびれています。このとき、唇をかまないように注意してください。
- 麻酔がきれ、痛みが我慢できないときは、多めの水(コップ1杯以上)といっしょにお渡しした鎮痛剤(痛み止め)をお飲みください。
- お薬は指示通りに飲んでください。
治療の流れ
1診査
歯の状態を確認し、抜歯が必要かどうかを判断します。必要に応じてX線検査やCT検査行うこともあります。
2局所麻酔
抜歯する歯やその周囲の組織に局所麻酔が施されます。これにより、手術中の痛みや不快感を軽減します。
3歯の抜去
抜歯用の器具を使い痛みに配慮しながら抜歯を行っていきます。症例によっては歯肉の切開剥離や、骨の切削を行う場合があります。
4止血
歯を抜いた後、出血が生じることがあります。出血を抑えるためにガーゼなどを使用します。圧迫止血を行います。
5縫合(必要な場合)
抜歯部位が大きかったり、傷口を閉じる必要がある場合は、縫合を行うことがあります。
6術後の説明
状態の説明や抜歯後の注意事項に関する説明を行います。
7消毒、抜糸、経過観察
翌日や近いところで抜歯後の消毒や炎症や感染症の兆候がないかチェックを行います。抜糸は1週間から2週間後に行います。
抜歯後の腫れについて
通常の腫れの程度
抜歯後は軽度から中程度の腫れが起こることが一般的です。腫れの程度は個人差があり、抜歯部位の状態や個人の体質によっても異なります。
腫れる期間
腫れは抜歯直後から増加し、最も腫れている状態になるのは抜歯後2~3日目です。その後徐々に腫れが減少していき、1週間程度でほとんど治まることが多いです。
危険な腫れの場合
腫れや炎症反応は一般的に自然な回復過程の一部です。しかし腫れが強く、局所的な熱感や激しい痛みがある場合、これは感染症の兆候かもしれません。また腫れが非常に急速かつ大きく広がる場合も注意が必要です。これらの症状がある場合、直ちに相談してください。
よくあるご質問
よくある質問
どんな時、親知らずが痛くなるのか?
口の中には限られたスペースしかないため、親知らずが正しく生えるスペースが足りないことがあります。特に日本人は顎が小さいため親知らずの生える方向に影響がでやすくなります。
親知らずはなぜきちんと生えないのか?
腫れは抜歯直後から増加し、最も腫れている状態になるのは抜歯後2~3日目です。その後徐々に腫れが減少していき、1週間程度でほとんど治まることが多いです。
親知らずがまた生えることがあるの?
親知らずが抜歯された場合でも、ごくまれに親知らずの再発生が報告されていますが、
これは非常にまれなケースです。
抜かないで治す方法はありますか?
親知らずに問題がない場合、または問題が軽微な場合は、抜歯しなくても様子を見ることができます。ただし、定期検診などでチェックを行うことをおすすめします。
親知らずの抜歯前の注意は?
歯ブラシをしっかり行い口腔内の細菌を減らすことが大事です。薬の服用に関しても事前にかかりつけ医に対診が必要な場合があります。
親知らずの抜歯は大体どのくらいの時間で可能ですか?
抜歯の所要時間は状況によって異なりますが、通常は簡単なものであれば30分程度の間に行われます。
親知らずの抜歯はいくらかかりますか?
抜歯の費用も状況によって異なりますが、保険の適用になります。
抜けなくて途中で中止されることはあるの?
抜歯が困難な場合や全身状態によっては抜歯を途中で中止することがあります。ご了承ください。
親知らずが虫歯になると抜歯は難しいですか?
親知らずが虫歯にかかると、その状態によっては抜歯が難しくなることもあります。
親知らずを抜くと小顔になる?
親知らずを抜くことで小顔になるという科学的な根拠はありません。ただし、歯や顎の変化が顔の形に影響を及ぼすことはあります。
親知らずを抜くのが怖い方へ
当院では抜歯が本当に必要か、患者さんの希望はどうか?などに応じて抜歯をおこなっています。また、抜歯をご希望の場合には治療中に痛みを感じることがないよう丁寧に麻酔を効かせた上で治療に臨みます。
しかし、それでも不安に思われるかたもいると思います。当院は予防を第一に考えた歯科医院のため抜かずに虫歯にならないようにする治療方針を取ることも可能です。ご不安を抱えている方は一度ご相談にいらしてください。